美容師と理容師の違いは?仕事内容や資格、今後の需要から主な就職先まで解説!

美容師と理容師は、お客様の美をお手伝いする点において共通しています。これから美容業界での就職を目指す方のなかには、美容師と理容師のどちらを選ぶべきか、そもそも何が違うのかと悩んでいる方もいるのではないでしょうか。 今回は、美容師と理容師の違いについて、仕事内容や資格など、さまざまな視点から紹介します。


この記事は約10分で読み終わります。

美容師と理容師の大きな違いは仕事内容!


美容師と理容師は、どちらもお客様の要望をもとに施術する仕事です。一見すると名称が違うだけで同じ職業のように思えますが、実際はこまかな部分が異なっています。

美容師と理容師で大きく違う点は、具体的な仕事内容です。

美容師はおしゃれ目的で容姿を美しくする

美容師は、お客様のおしゃれをサポートすることが仕事です。カットやカラー、パーマなど、専門的な知識と技術を駆使して容姿を美しく整えます。

また、勤務先やお客様の要望次第では、ヘアメイク、まつエク、まつ毛パーマ、ネイルなど毛髪以外の部分的な施術を行うこともあります。

施術内容における理容師との最大の違いは、カミソリによる顔剃りができないことです。カミソリを使用した顔剃りは、法律により理容師でなくては対応できない決まりです。

理容師は身だしなみとして容姿を整える

理容師は、身だしなみを整えることを目的としています。カットやシャンプー、顔剃りなどで容姿を整えますが、施術は美容目的ではなく、身だしなみの範囲に留まります。

美容師の解説で触れた通り、カミソリで顔剃りができるのは理容師です。髭剃りも含めたシェービングに対応できます。一方で、美容師が手がけるようなヘアセットやメイクは美容目的と判断されるため、理容師は行えません。

ほかにもある!美容師と理容師の違いを詳しくチェックしよう

美容師と理容師の最大の違いは、前述の通り施術内容にあります。

ほかにも、美容師もしくは理容師を目指す上で知っておきたい両者の違いとして、資格や試験、給料、働く場所や今後の需要などがあげられます。

資格・試験

お客様に施術を行う上で必須とされるのが、国家資格です。美容師は美容師免許を、理容師は理容師免許を取得しなくてはなりません。

どちらの免許も、取得するためには厚生労働省指定の養成施設(専門学校)で所定のカリキュラムを修め、国家試験に合格する必要があります。お客様に安全な施術を提供できるよう、筆記試験に加えて実技試験も行われます。

筆記試験の受験科目は、美容師も理容師もほとんど同じです。異なるのは7科目のうち1科目のみで、受験内容に応じて美容技術理論もしくは理容技術理論が出題されます。

試験内容が大きく異なるのは、実技試験です。

■美容師の実技試験

美容師の実技試験は、主に2種類の施術が出題されます。

・カッティング
・ワインディングかオールウェーブセッティング

1種類目のカッティングは毎回出題され、2種類目は受験する回によってワイディングかオールウェーブセッティングのどちらかが出題される形式です。

■理容師の実技試験

理容師の実技試験で出題される施術は、次の3種類です。

・カッティング
・シェービングおよび顔面処置(髭剃りなど)
・整髪

美容師試験も理容師試験も、筆記もしくは実技のどちらかが合格して、残り一方が不合格となる場合があります。片方が不合格となったときは、次回受験時に限って合格したほうの受験が免除されます。

給料

美容師と理容師の年収や待遇に、職業の違いによる大きな差はありません。違いが現れやすいのは、勤務先の給料システムです。

美容師は歩合制が多いため、店舗やスキルによって給料に大きく差が出る傾向にあります。一方の理容師は、勤務先やスキルによる収入の格差が美容師ほどではありません。人によっては、頑張り次第や実力に応じて収入アップを目指せる点は、歩合制度の魅力ともいえます。

今後の需要

美容師と理容師は施術できる範囲や目的が異なる点を見ても、今後も根強く安定した需要が見込める仕事です。介護業界など、新たなサービス提供の場を模索することもできます。

将来の転職なども視野に入れて考えると、広告業界やファッション業界でも需要のある美容師なら、活躍できる場所を広げられるでしょう。

美容師・理容師の主な就職先

美容師や理容師はどのような場所で働くことが多いのでしょうか。ここでは、美容師や理容師の主な就職先を紹介します。

美容師の就職先

美容師は美容室以外にもさまざまな就職先があります。

美容室

美容室は、美容師の就職先として最も多い場所です。美容師の資格を取ったらまずは美容室でアシスタントとして働くのが一般的です。美容室のなかには、ネイルなど他の美容サービスと組み合わせて提供している場合もあります。

結婚式場

結婚式場では、新郎新婦やゲストのヘアメイク担当として働きます。ドレスや利用者のオーダーに合わせたヘアメイクを施すスキルや提案力が必須です。美容室でスキルを磨き、経験を積んだあとに転職するのがおすすめです。

ヘアメイク専門店

ヘアメイク専門店は、映画・CM・ファッションショーなど、必要とされる現場に出向いてヘアメイクやヘアセットをします。予約を受けてさまざまな現場に派遣されるので、移動時間を含めて拘束時間が長くなることもあります。勤務時間も不規則なので、労働環境の確認は必須です。

こちらも、美容室で実績を積んでから転職するのがおすすめです。

美容エステティックサロン

美容エステティックサロンは、髪を切る仕事ではなく、まつ毛エクステやまつ毛パーマなどのまつ毛に関する施術を行うサロンです。まつ毛を扱う施術は美容師の資格が必要であるため、美容師の資格を取ってアイリストになる方もいます。

また、こうしたサロンはネイルなども複合してサービス提供している場合もあるため、ネイリストの資格があると役立つこともあります。

理容師の就職先

理容師の就職先は、美容師のように多岐にわたってはいませんが、理容師しかできない仕事があるため、需要はあります。

理容室

理容師の就職先として最も多いのが理容室です。理容師の資格を取って理容室に就職し、アシスタントとして働き始めるのが一般的です。アシスタントとして十分に経験を積み、理容師として活躍する方が多くいます。

理容室では、男性の顧客が多く、シェービングや髪の剃り込みなどに対応する必要があります。

シェービング専門店

シェービング専門店に就職する理容師もいます。理容室でのシェービングは顔のみが多いのですが、専門店では全身が対象になるところもあります。シェービングには理容師の国家資格はもちろん、経験と実績も必須です。

シェービングの専門店には女性専用のサロンもあり、ブライダルシェービングなどを行います。サロンでは、頭皮マッサージなどのサービスを複合的に行うところもあるので、業務内容を確認しましょう。

美容師・理容師になるために必要なスキル

 

美容師・理容師になるためには、カットやシェービングなどの専門的なスキル以外にも必要なスキルがあります。

コミュニケーション能力

美容師や理容師は、顧客の要望通りにカットしたり施術したりする必要があります。そのため、要望を聞き出し、顧客の理想を叶えるための会話をするコミュニケーション能力が必要です。

コミュニケーションを取りながら、顧客からの信頼を獲得すれば、リピーターの獲得にもつながります。

体力

理容師も美容師も立ち仕事です。座って作業することはほとんどないため、体力がなければ務まりません。体力に自信のない方は、あらかじめ体力をつけておくことも必要です。

向上心

流行や顧客の嗜好は多様であるため、美容師や理容師も向上心をもってスキルアップする必要があります。資格取得を目指したり、講習会に参加したりするなど、常に自己研鑽に励むことも大切です。

美容師と理容師のどっちを目指したら良い?

美容師と理容師のどちらを目指すべきか迷っている方は、自分の特性や目的を振り返ってみましょう。ここからは判断材料として、美容師が向いている人、理容師が向いている人の特徴を紹介します。

美容師が向いている人

美容師の仕事は、常にお客様の「きれい」を叶えるための知識や技術が求められます。向いている人の特徴は、次の通りです。

・美容やファッションの情報収集に積極的な人
・エンタメなどトレンドに敏感な人
・コミュニケーション能力がある人
・体力、精神の両方がタフな人

おしゃれのトレンドは、頻繁に変わるものです。どのような美容アイテムやファッションが注目されているのか、プロとして常にアンテナを張って情報収集する必要があります。

人気芸能人やドラマが流行の起爆剤となるケースも多く、エンタメなど美容以外のトレンドにも敏感でなくてはなりません。

もちろん、何より重視すべきはお客様の要望です。円滑なコミュニケーションでお客様の理想のイメージを汲み取り、施術に反映させられる能力が求められます。

意外と重要なのが、体力面と精神面のタフさです。美容業界の仕事は体力勝負な部分が多く、アシスタントからスタイリストにステップアップするまでの修行を根気良く続けられる精神力も重要です。

理容師が向いている人

身だしなみは人の印象を大きく左右するため、理容師の仕事は確かな技術力が求められます。理容師に向いている人の特性は、次の通りです。

・専門的な技術やスキルを伸ばしたい人
・技術向上のための努力を惜しまない人
・男性のさまざまなニーズにサービスで応えたい人
・円滑なコミュニケーションをとれる人
・体力、精神の両方がタフな人

理容師は、顔剃りなど高い技術が求められる仕事です。常に練習や講習会への参加を繰り返し、技術向上のために努力を積める人であれば活躍できます。

理容師の主な顧客層は、男性です。男性ならではの悩みを聞いて対策を提案したり、施術で軽減させたりと、さまざまなニーズに応えられる姿勢が求められます。悩みによってはデリケートな相談となる場合も多いため、お客様に不快感を与えない伝え方を意識できるかどうかも重要です。

美容師と同じく、理容師も免許取得後は長い下積み時代が待っています。長時間の立ち仕事や技術習得の練習など、体力的にも精神的にも食らいついていけるタフさが欠かせません。

美容師と理容師のダブルライセンスもおすすめ!

どちらか一方のみを選べない方や、もう一方の仕事にも興味がある方は、美容師と理容師のダブルライセンスを目指す道もおすすめです。

最後に、美容師と理容師のダブルライセンスを取得するメリットや方法を紹介します。

ダブルライセンスのメリット

ダブルライセンスの最大のメリットは、就職先の選択肢が大幅に増えることです。理容室と美容室のどちらでも働けるため、就職や転職で有利です。

両方の技術を習得していれば対応できるサービスも増え、集客力アップにつながります。任される仕事の幅も広がり、勤務先によっては収入アップも期待できます。

ダブルライセンスを取る方法

ダブルライセンスの取得も基本的な流れは美容師または理容師の国家資格取得と同じです。ふたつの専門学校に通い、それぞれで必要なカリキュラムを修了して免許を取得します。

なかには、ダブルライセンスの取得を目指す方向けのカリキュラムを提供している専門学校もあります。ただし、対応している学校数は少ないのが現状です。

美容師も理容師も国家試験は定期的に開催されており、最初から両方を取得する必要はありません。一方を先に取得してから、キャリアアップやスキルアップの選択肢としてもう一方の免許取得を目指してみてはいかがでしょうか。

まとめ

美容師も理容師も、お客様の容姿を整えることで喜びを提供できる点は共通しています。それぞれ法律で許可されている施術の範囲や、国家試験の出題内容など異なる点もありますが、需要が高い仕事に違いはありません。

美容師と理容師のどちらを選ぶか迷っている方は、自分の特性や目的に合ったほうの免許取得を目指しましょう。将来の選択肢を増やしたいのであれば、思い切ってダブルライセンスを目指す選択肢もおすすめです。

▼この記事を読んだ方におすすめ
美容師は店長クラスで年収いくら?役職別年収や年収アップの方法
美容師アシスタントの仕事内容は?スタイリストになるまでの道のりとは
美容師になるには?必要な資格や向いている人も紹介!
美容師の給料はどれくらい?気になる美容師のお給料事情
美容師を目指す人必見!仕事内容と必要な資格・スキルを解説
美容系の仕事7選!資格の必要性や向いている人をチェックしよう!