エステサロンの独立形態3種と開業に必要な費用
エステサロンの独立を目指すなら、まずは店舗の形態選びから始めましょう。店舗の形態によって、必要な開業資金や設備が異なります。
エステサロンの独立開業にかかる初期費用には、次の経費が含まれます。
・物件の契約料、敷金、礼金、保証金
・内装工事費
・設備費
・広告費用 など
このほかに、家賃、水道光熱費、予約システムの利用料、雇用する従業員の人件費などが毎月発生します。資金不足なら金融機関から融資を受けるか、個人事業者向けの助成金、補助金を利用しましょう。
エステサロンの独立形態は、大きく分けて次の3種類です。
・自宅サロン
・賃貸型サロン
・テナント型サロン
それぞれの特徴と営業形態、必要とされる開業資金の違いをみていきましょう。
【初期費用を抑えられる】自宅サロン
資金不足の場合は、自宅スペースをサロンにして独立する方法があります。サロン経営で資金を多く必要とするのは、店舗形態です。自宅サロンなら家賃がかからず、低コストで独立が実現できます。
【開業資金の目安】
自宅サロンで独立する場合にかかる初期費用は、70万円前後が目安です。グレードの高い内装を求める場合はもう少し資金が必要になります。
【メリット】
自宅サロンのメリットは通勤時間がかからず、隙間時間を活用した働き方ができるところにあります。
【デメリット】
自宅をサロンにすると、居住空間が圧迫されるのがデメリットです。立地的にお客様に認知されにくく、生活感も出てしまうため、エステに特別感を求めるお客様をターゲットにしにくい傾向があります。
【安定した収入を目指せる】賃貸型サロン
自宅を店舗としたくない場合は、賃貸マンションを借りてサロンに改装しましょう。毎月の賃料が発生するものの、テナント型と比較すると費用を抑えて経営をすることができます。
ただし、賃貸マンションのなかには店舗営業を認めていない物件もあるため注意が必要です。場合によっては、店舗営業で賃貸マンションを借りると賃料が高くなるので、慎重に選びましょう。
【開業資金の目安】
月20万円程度の家賃の物件であれば、必要とされる初期費用は200万円前後が目安です。初期費用以外に、毎月の家賃や水道光熱費などのランニングコストがかかります。
【メリット】
賃貸型サロンは、比較的ローコストで安定した収益が目指せるのが魅力です。賃貸マンションでも繁華街付近や路面店などの好立地を選べば、人目について集客できます。
【デメリット】
賃貸型サロンは毎月の家賃が発生するため、固定客がいないと経営が難しくなりがちです。また、密室空間を好まないお客様もいるため、新規顧客の獲得が難しい傾向があります。
【集客に強い！】テナント型サロン
十分な資金力で本格的なサロン経営を目指すなら、商業施設やビルなどの一角に出店するテナント型サロンがおすすめです。自宅サロンや賃貸型よりも信頼性が高い店舗形態で集客に強く、順調にいけば高い収益が期待できます。
【開業資金の目安】
毎月の賃料が30万円の物件の場合、初期費用は520万円前後となります。店舗の規模や立地に左右されるものの、一般的にテナント型の敷金や礼金、毎月の賃料は高額です。
【メリット】
テナント型のサロンは認知されやすく、集客しやすいのがメリットです。また内装の自由度も高く、自宅サロンや賃貸型よりもクオリティの高いサロン作りができます。
【デメリット】
テナント型のデメリットは、コストが大きいことです。毎月の家賃、水道光熱費などのランニングコストも膨らみやすい傾向があり、数ヶ月分の費用をあらかじめ確保してから、独立する必要があります。
【計画的に準備！】エステ独立までの手順
ここからは、エステサロンを独立、開業するまでの手順を紹介していきます。実際に独立するまで数年かかる可能性があるため、計画的に進めることが大切です。
1.必要な資格や技術を習得する
まずは、エステティシャンとしてサロン勤務を経験して、接客や経営のノウハウを学ぶところから始めましょう。開業にあたって必須の資格や免許はないものの、技術や経営力がないと集客は難しくなります。フランチャイズ開業を展開しているサロンもあるので、独立を視野に入れたうえで就業先を選ぶのもひとつの手です。
また、AJESTHEやAEA認定エステティシャンなどの資格があるとお客様から信頼を得やすいため、積極的に取り組みましょう。
なお、エステティシャンになる方法については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。
2.サロンのコンセプトを決める
次に、サロンの経営理念を定める必要があります。コンセプトがはっきりすればターゲット層や提供するサービス内容が決まってくるため、目指すサロンをイメージして考えましょう。
3.事業計画書を作成して開業資金を確保する
金融機関からの融資や補助金を受ける場合は、事業計画書の提出が求められます。早い段階で企業概要、経営方針、事業内容、事業展開などを明確にしましょう。
サービスの価格も決めておくと、資金計画や返済計画が立てやすくなり、融資を受けるのに説得力が出ます。開業資金は自己資金である程度カバーするのが理想です。そのため、無理のない計画を立てましょう。
4.サロンの物件を探す
開業資金の確保と平行して、サロンの物件探しも進めていきます。立地が良いと集客しやすい反面で家賃が高くなるデメリットがあるため、サービスの価格を考慮して、条件に合った物件を選ぶことが大切です。
5.サロンの外装・内装工事をする
サロンのコンセプトに合う店舗が見つかったら、外装や内装工事の計画を立てて施工にとりかかります。完成までに時間がかかるため、余裕をもって計画しましょう。
あわせて、下記のようにサロン開業までに必要な物品も準備します。
・ベッド
・スツール
・カウンセリングシート
・会計機材
・タオル
・オイル
・美容機器 など
6.広告宣伝を始める
外装や内装工事の竣工予定に合わせて、広告宣伝の準備も進めましょう。エステサロンの広告宣伝には下記の手段があり、それぞれ予算やアプローチできるターゲット層はさまざまです。
・ポスター
・チラシ
・公式ホームページの開設
・SNS など
近隣住民に直接開店を周知したい場合は、ポスターを貼ったりチラシを配布したりする方法が適しています。一方、特定の層をターゲットにするなら、ホームページやSNS、ブログなどを活用するのがおすすめです。コストを抑えつつ、幅広くアプローチすることができます。
7.届け出をして開業
エステサロンをオープンしたら、開業届や青色申告承認申請書を税務署に提出して届け出をします。開業届は事業を開始した1ヶ月以内、青色申告承認申請書は事業を開始した2ヶ月以内に済ませるのが原則です。
エステサロンの独立を成功させるポイント
エステサロンの独立開業を成功に導くポイントは、次のとおりです。
・エステサロンの経営力をつける
・ターゲット層にあわせた広報活動をする
・リピーター獲得の仕組みを作る
・継続的に技術を習得する
それぞれを詳しく解説していきましょう。
エステサロンの経営力をつける
まず、エステティシャンとしてだけでなく、オーナーとしての心構えをもつ必要があります。エステの技術だけでなく、経営のノウハウや経理、法律なども学んでおきましょう。
個人経営のサロンを成功させるには、経費を抑えて収入アップの仕組みを作る必要があります。金額差のある3段階のメニュー構成で客層を広げる、化粧品を販売して収益を上げるのも効果的です。
ターゲット層にあわせた広報活動をする
営業や集客の工夫も必要です。エステティシャンとしての技術力があっても、広報活動をしなければお客様は来てくれません。
ターゲットはサロンのコンセプトや立地にも影響するため、効果的な広報を実施しましょう。特に若い年代にアプローチするなら、ホームページやSNSでの情報発信が効果的です。
リピーター獲得の仕組みを作る
個人経営のエステサロンを成功させるポイントは、リピーターの確保にあります。固定客がつくと安定的な売上が見込めるため、次回来店クーポンを渡す、特典を用意するなどの工夫をしましょう。
紹介客の獲得には、キャンペーンやイベントを開催するのも効果的です。
継続的に技術を習得する
安定した経営を続けるには、自分自身の技術研鑽も大切です。最新の技術を身につけることで顧客に提供できるサービスを増やすことにつながり、他店舗との差別化が図れます。
エステの技術は進歩が早いため、従業員が最新のトレンドを理解したり、技術を身に付けたりしないと顧客が離れてしまうリスクがあります。そのため、トレンドを意識してエステティシャンとしての能力も高めましょう。
まとめ
エステサロンの独立形態には、自宅サロン、賃貸型サロン、テナント型サロンと3種の形態があり、それぞれで必要な資金が異なります。自分の目指すサロンや働き方にあわせて、計画的に開業準備を進めていきましょう。
また、エステサロンの独立を成功させるには、技術だけでなく経営力も必要です。広報活動にも取り組んで、夢の実現を目指しましょう。