エステティシャンの年収はどのくらい?業界の現状と給与事情を徹底解説

これからエステティシャンを目指すときに気になることのひとつが、「年収」ではないでしょうか。美容関連の仕事が好きでも、仕事選びは生活に直結するため、年収について考えることも大切です。今回は、エステティシャンの平均年収や賃金形態、年収アップを目指すポイントを紹介します。


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気になるエステティシャンの年収は?

エステティシャンの雇用形態は、正社員、パートやアルバイト、派遣社員などさまざまです。年収は、雇用形態や資格の有無、サロンの方針、地域によっても大きく異なります。ここでは、エステティシャンの年収をみてみましょう。

正社員の場合の月給は?

エステティシャンの正社員の平均年収はおよそ368万円です。日本の平均年収よりもやや低い傾向にあります。年収を月給に換算すると31万円で、初任給は24万円程度とするのが相場です。

賃金形態に歩合制を取り入れているサロンでは、月給が固定ではなく変動します。また、インセンティブがつく場合も月給は変わります。ほかにも、資格手当や役職手当などの手当がつくところもあるでしょう。手当の種類や金額はサロンによってさまざまです。

出典:求人ボックス「エステティシャンの仕事の年収・時給・給料

パートやアルバイト、派遣社員の時給は?

パートやアルバイトのエステティシャンの時給の平均は1,075円 です。一方で、派遣社員として働くエステティシャンの平均時給は1,461円と、パートやアルバイトよりも高くなります。

都市と地方で時給が異なるため、働く地域によって平均よりも上下することもあります。また、ほかのサロンで働いた経験があるなど経験者の場合は、未経験の方よりも時給が高い可能性もあるでしょう。

出典:求人ボックス「エステティシャンの仕事の年収・時給・給料

ボーナスはどれくらい?

エステティシャンのボーナスについては、サロンによって異なります。

一般的にエステ業界では年2回、場合によっては5回まで支払われることがあります。

しかし、なかには歩合制により、ボーナスが発生しないケースもあるため、就職時には事前に確認しておくことが大切です。

エステティシャンの主な賃金形態

就業先探しでは年収額に目がいきがちなものの、どんな賃金形態を採用しているかも重要です。給料の支払い方によって働きやすさが変わってきます。ここからは、エステティシャンの主な賃金形態についてみていきましょう。

完全固定給制

完全固定給制のエステティックサロンでは、通常の会社員と同じように、毎月一定額の固定給が支払われます。事情があって仕事を休んでも、毎月の収入が保証されているのが大きな強みでしょう。

契約内容が変わらない限り常に一定の月収が得られるため、安定した生活を送りたい方におすすめです。先々の予定を立てやすく、歩合給よりもローンや審査で有利なので、家族がいるエステティシャンにも向いています。

一方で、完全固定給制はベースアップが難しく、給料アップを目指しにくい面があります。勤務時間や働き方が固定されていて、休みが取りにくいといったデメリットもあるので、自分の働き方に合うか検討しましょう。

固定給+歩合給制

固定給制と歩合給制を組み合わせた賃金形態を採用しているエステもあります。

一部歩合制では、就業先が定めた毎月の基本給に、個人売上や施術提供時間、回数達成などによるインセンティブが上乗せして支払われます。安定した生活を送りながらも、頑張って収入を上げたい方に向いているといえるでしょう。

完全固定給制だと収入を増やすのが難しいものの、一部固定制の職場なら、基本給を確保しつつ無理なく収入アップが目指せます。売上が思わしくなくても最低限の給与が保証される安心感があり、歩合給がモチベーションとなって、仕事にポジティブな気持ちで取り組めるでしょう。

歩合給を上げるために頑張れば、自然とエステの技能や美容に関する知識を学ぶスピードも向上します。エステティシャンとして成長したい新卒者にも向いている賃金形態です。

とはいえ、完全固定給制に比べると固定給や歩合率が低い傾向にあります。毎月の基本給で生活が成り立つか、しっかり検討して就業先を選びましょう。

完全歩合給制

完全歩合給制は、仕事の分だけ給与が支払われます。知識や技能のある実力派エステティシャン向きの働き方で、指名客が多いほど高収入が目指せるでしょう。

完全歩合給は、自分の希望する時間だけ柔軟に働けるのが魅力です。就業時間中は職場に拘束される固定給制に対して、完全歩合給なら、担当するお客様から申し込みがあった時間帯だけ出勤するというやり方ができます。

まとめて働いてしっかり稼いだら、仕事を控えてエステ関連の資格取得の勉強をする選択肢もあります。プライベートを大切にしたい方、レベルアップや将来的な独立を目指すエステティシャンにもおすすめです。

とはいえ、完全歩合給の場合は経済的に不安定になりがちです。事情があって仕事ができないとき、指名客が離れてしまった場合は安定した収入が得にくいため、常に努力が求められます。

完全歩合給制の場合は、正社員ではなく契約社員やフリーランス契約が多いのにも注意しましょう。正社員に比べて福利厚生が充実していなかったり、保険料の支払いに手間がかかったりすることがあります。

エステティシャンの福利厚生や手当は?

エステティシャンの給料には、手当や福利厚生が数種類つきます。手当によって手取り額が大きく異なる可能性もあるため、どのような手当があるのか知っておくことも大切です。手当や福利厚生の種類や金額はサロンによって異なるのであらかじめ確認しておきましょう。

手当の例としては、一般的に通勤手当、役職手当、資格手当、住居手当などが考えられます。ほかにも、昼食手当などサロン独自の手当てを導入しているところもあるので、確認が必要です。

一方、福利厚生の例としては、自社メニューの社員割引や人間ドックの補助、資格取得に関する費用の補助などがあります。また、サロンのメニューの社員割引だけでなく、サロンで使うコスメや商品を安価で買うことができる制度などもあります。

手当や福利厚生がないサロンもあるため、事前にどのような手当や福利厚生があるのかを確認しておくと良いでしょう。自分に必要な手当や福利厚生が充実しているサロンを選ぶのも年収を上げるポイントです。

エステティシャンとして年収アップを目指す方法

エステティシャンは、自分の技能や実力をいかせるやりがいのある仕事です。就業先の選び方やスキルの習得で年収アップも期待できます。エステティシャンが年収アップを目指すポイントをみていきましょう。

待遇の良いエステティックサロンに就職する

エステティシャンとして年収アップを目指すなら、できるだけ待遇の良いエステティックサロンを探しましょう。大手の全国チェーン店や歩合給の比率が高いサロンがおすすめです。

同じ歩合給制でも、歩合率が高いサロンほど頑張りが給与に反映されます。完全固定給制のエステティックサロンの場合は、毎月の基本給とボーナスの金額に注目しましょう。

年収が低くても、交通費をはじめとする各種手当が充実していたり、社会保険や福利厚生で優遇されていたりすれば、家計からの支出を抑えられます。長い目で見てメリットがあるか、慎重に労働条件をチェックしましょう。

また、同じエステティックサロンでも、マネージャーや管理職として登用されれば年収アップが期待できます。特に、大手エステチェーンの管理職なら高収入が狙えるため、将来の安定した生活を意識して、若いうちから実績を積むのも賢い選択です。

資格を取得する

資格がなくてもエステティシャンになれるものの、お客様はやはり資格をもっているエステティシャンに施術をしてもらいたいものです。また、資格があれば評価が高まり、収入アップにつながります。勉強を通して技術力を磨けばお客様も増え、売上にも反映されるでしょう。

エステティシャンのスキルアップにおすすめなのは、次の資格です。実務経験がないと受検できない資格もあるため、まずは基礎的な勉強からはじめましょう。

・日本エステティック協会(AJESTHE)

日本エステティック協会(AJESTHE)が認定する民間資格で、基本的な知識と技術により、エステティックサービスを提供できると認められた人に付与されます。受験資格として協会認定校での300時間以上のコースまたは1000時間以上のコースの修了、もしくは実務経験1年以上が必要です。

・日本スパ・ウエルネス協会

エステティック業界の健全な発展とセラピストの社会的地位向上を図るため、日本スパ・ウエルネス協会では、エステティシャンに関するさまざまな資格試験を実施しています。エステティシャンの仕事で生かせる資格として、サービスマナー検定やビューティセラピスト、認定エステティシャン、美容脱毛士などがあげられます。

・AEA認定エステティシャン

日本エステティック業協会(AEA)が認定する、エステティシャン資格の登竜門。実務経験1年以上か認定校でのカリキュラムを300時間修了すると受験資格を得られます。

独立する

年収アップを目指して独立するのも選択肢のひとつです。サロンで経験を積んでから独立するエステティシャンは多く、500万円前後~数千万円の年収を得る方もいます。

近年は比較的安価な価格帯の施術が増え、エステはより身近なものとして受け入れられています。個人エステの需要は高く、独立開業のチャンスが広がるでしょう。

とはいえ、人気があるのは最先端の痩身エステや高額な機材を必要とする脱毛で、独立するには初期費用がかかります。価格競争に巻き込まれるリスクもあるため、まずは大切なお客様をつなぎ止められるよう、たしかな知識と技術を身につけるところからはじめましょう。

まとめ

エステティシャンの平均年収は約370万円です。賃金形態や地域によっても差があるため、就業先をしっかり選びましょう。

エステに関連する資格や営業スキルを習得すれば、年収アップや独立開業も夢ではありません。美容業界に興味がある方、自分の実力で平均年収以上を稼ぎたい方は、検討してみましょう。