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美容師の現状と将来性
厚生労働省の調査によると、美容院やサロンは近年増加傾向にあり、全国には26万店舗以上が営業しています。美容師が働く職場は数が多く、需要が安定しています。
美容師になるには国家資格が必要で、誰でもできる仕事ではありません。また、資格があれば 全国どこにいても職に困らないため、美容師の仕事は将来性があります。
また、資格には年齢制限がなく、体力があれば年齢によらず長く働けるのも、美容師の魅力のひとつだといえます。
出典:「令和3年度衛生行政報告例の概況」(厚生労働省)
美容師の仕事はAIに取って代わられる?
近年は、美容業界でもAIによる自動化が進んでいます。一部の店舗では自動シャンプーが導入され、AIによる自動カットロボットの開発も進んでいて、美容師もいずれAIに取って代わられると考える方もいるかもしれません。
しかし、美容師の仕事を完全に自動化するのは難しいと考えられています。
美容師に求められるのは、高度かつ繊細な技術、流行をとらえた美的センスです。お客様が望むヘアスタイルへと仕上げるには経験が必要となり、AIが美容師の仕事を完全に模倣するのはハードルが高いとされています。
お客様の好みやニュアンスを短時間で聞き出して的確な施術を行えるのは、美容師が人間だからこそです。
また、お客様のなかには、美容師との密なコミュニケーションを求めている方もいます。現状、AIは人の感情に寄り添うのが難しいとされているため、一人ひとりのニーズをつかめる美容師になれば、AIに仕事を奪われるリスクを最小限にできるでしょう。
これからの美容師の働き方
AIに仕事を奪われるリスクは低いとはいえ、時代やお客様のニーズは変化しています。これから長く、美容業界で活躍するためのポイントをみていきましょう。
安定を求めるなら直接雇用で働く
美容師の雇用形態は正社員、契約社員、パート、アルバイトとさまざまで、ライフステージに合う働き方を選べます。歩合給を導入している店舗だと収入が変動しやすいものの、毎月決まった額の月収を受け取れるため生活が安定します。
技術やセンスを磨けば管理職も目指せるので、福利厚生も確認して長く働ける店舗を選ぶことが大切です。
独立してフリーランスとして働く
個人事業主になれば、多様な働き方を自分で選べます。時代のニーズに合う独自の営業方法で安定した収入を目指して、自分の可能性を大きく広げるチャンスです。美容師の仕事に年齢制限はないため、セカンドキャリアとして独立を考えても良いかもしれません。
近年は店舗をもたない、フリーランスの美容師が増えています。フリーランスには、主に次の形態があります。
業務委託
業務委託は会社や美容院と個人契約を結び、相手の店舗で施術をする働き方です。業務内容は契約の仕方によって違い、指名客のみを対象に施術することもあれば、派遣に近い働き方もありさまざまです。
契約によっては新規顧客の開拓もでき、空いた時間を営業活動やスキルアップに活用できます。
シェアサロン
お客様から予約を受けたときにだけシェアサロンを借りて施術をする、非常に自由度の高い働き方です。とはいえ、美容師としてある程度の実績がないと集客はできません。リピーター客との信頼関係を維持していく工夫も必要です。
訪問型
美容院に出かけられない高齢者宅や介護施設へ訪問して、施術を行います。高齢者向けのサービスは需要が高く、副業としても有効な働き方です。訪問型の働き方をする場合は、「福祉理美容師」の資格を取っておくとスキルの証明になり、集客に役立ちます。
独立してトータルビューティーに対応する
独立して自分のサロンをもつ際は、ほかの店舗との差別化が重要です。近年は1店舗で全身美しくなれる美容院のニーズが高く、トータルビューティーに対応するサロン経営をする美容師が増えています。
トータルビューティーサロンでは従来のヘアカットやパーマなどの施術に加えて、メイク、まつエク、エステ、ヘッドスパと幅広い美容技術を提供するのが特徴です。高い集客効果が狙える反面で、幅広い資格や美容師としての実績、最新設備を備えた店舗をもつ資金力が求められます。
海外に進出する
日本は少子化で需要が伸び悩み、景気が低迷しているため、海外に進出する美容師も増えています。日本の美容技術やサービスの質の高さは海外で定評があり、実際にハリウッドで成功した日本人美容師もいます。
日本人の美容師の需要がとくに高いのは、急激な近代化が進むアジア圏です。髪質が日本人に似ているので、施術しやすいメリットもあります。とはいえ、海外に進出する場合は、まず言語の修得が必要です。
将来性のある美容師を目指すポイント
近年は美容院や美容師が多く、美容業界はサービスの低価格と高価格の二極化が進んでいます。お客様から選ばれる美容師になるには慢心せずに、変化する時代に対応する努力が必要です。
美容業界のニーズ、流行、サービスの変化は早いため、次の要領で長く活躍できる美容師を目指しましょう。
自分のキャリアプランを考えておく
美容師として長く働くためには、早い段階で自分のキャリアプランを考えておく必要があります。時代の流れやニーズの変化を読みつつ、自分の最終目標を決めましょう。
一般的に美容師のキャリアプランとして、サロン勤務でアシスタント、スタイリスト、トップスタイリスト、店長へと昇格していくケースが多いです。なかには、サロン開業やフリーランスなど、独立を目指す方もみられます。
キャリアプランは、年齢や体力、ライフステージによっても変化します。美容師の経験を活かして別業種にキャリアチェンジもできるため、若いうちからキャリアの選択肢を広げておきましょう。
美容師経験を活かせる仕事については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。
「美容師は離職率が高い?その原因と美容師経験が活かせる仕事」
積極的にスキルアップする
美容師として幅広い働き方をするためには、スキルアップも大切です。積極的に美容関連の資格を取得する、セミナーに参加するなど実力を養いましょう。流行の変化や美容技術の進化は早いため、常にトレンドを張っておく姿勢も欠かせません。
実力が身につけば、働き方の幅も広げられるため、時代の変化に対応して長く働けます。また、スタイリングの技術以外にも接客や集客、情報収集力のスキルを高めておくと、独立した際にも重宝します。
セルフプロデュースして自己発信する
近年は表現の場が広がっているため、SNSやYouTubeなどを活用してセルフプロデュースするのもおすすめです。スタイリングに役立つ情報を定期的に発信すればファン獲得につながり、サロン勤務であれば指名率の向上に、フリーランスであれば集客として役立ちます。
文章や写真、画像の撮影や編集もスマートフォンで簡単にできるので、どんな人でも気軽に始められます。
まとめ
おしゃれで華やかな美容業界は人気で、美容院やヘアサロンは年々増加しています。いずれ飽和状態に陥ってしまうのではないかと不安な面もあるかと思いますが、美容師は多彩な働き方ができる将来性のある仕事です。独立した場合も業務委託のフリーランスやシェアサロン、海外で勤務するなど多様化しているため、時代の変化やニーズをとらえて、自分らしく長く働けるキャリアを選択しましょう。