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メイクアップアーティストの主な仕事内容
メイクアップアーティストの仕事内容は大きくふたつに分けられます。ひとつはメイクアップ、もうひとつはヘアスタイリングです。
それぞれの仕事内容を紹介します。
メイクアップ
俳優やモデル、花嫁などにメイクをするのがメイクアップアーティストの仕事です。その人の顔立ちや個性を活かすメイク、俳優なら役柄に合わせ、モデルなら着る服やトレンドに沿ったメイクをします。また、TPOに合わせたメイクアップを求められます。
相手の魅力を最大限に引き出すメイク、また要望どおりのメイクができると、特にやりがいを感じられる仕事です。
とはいえ、一人ひとり顔の形やパーツのバランスが異なるため、悩みをカバーし魅力を引き出せるメイクを提供するには、場数を踏んでスキルを高めることが大切です。
ヘアスタイリング
メイクアップアーティストは、ヘアスタイリングやヘアアレンジも担当します。「自分はメイクには興味があるものの、ヘアアレンジは苦手」と思っている方もいるかもしれません。
しかし、メイクアップとヘアスタイリングは分業での求人は少ないため、基本的にメイクアップアーティストには両方の知識が求められます。
メイクアップアーティストの年収は?
厚生労働省発表のデータによると、メイクアップアーティストの平均月収は25万1,000円(令和4年度)、平均年収は379万7,000円(令和5年度)です。
メイクアップアーティストの就職先としてヘアメイク事務所や美容サロン、ブライダルサロンなどがありますが、どの就職先でも収入はそれほど変わらないでしょう。
なお、就職後3年ほどはアシスタントとして雑務をこなすケースが多く、その間の収入は100~180万円程度になる場合があります。
フリーランスとして独立した場合の年収は、人によって大きく異なります。仕事を獲得できなければ無収入になるリスクがありますが、成功すれば年収1,000万円を超えられる可能性もゼロではありません。
出典:厚生労働省「メイクアップアーティスト」
勤務形態別の給与水準や給与アップの方法について詳しく知りたい方は、ぜひ下記の記事もご覧ください。
「メイクアップアーティストの給料!年収1000万も狙える?」
メイクアップアーティスト になる方法は?
他人へのメイクやヘアスタイリングは美容法により、美容師免許を取得していなければできません。一般的に高校卒業後に美容系専門学校に入学して、ヘアメイクの専門知識や技術を学び、美容師免許を取得します。
美容師免許の取得には、指定された美容系専門学校に2年以上、通信制だと3年以上通い知識と技術を習得し、卒業しなくてはなりません。卒業後に美容師国家試験に挑戦し、合格すれば美容師・メイクアップアーティストとして働けるようになります。
参考:厚生労働省「理容師・美容師免許の取得まで」
メイクアップアーティストに役立つ資格
メイクアップアーティストとして活躍するために取得しておくと役立つ資格を紹介します。
日本メイクアップ技術検定試験
メイクアップを職業としている方、またはメイクアップを職業にしたいと考えている方の技術力、接客力、知識力の向上を目指す試験です。
1級・2級・3級の3段階があり、すべて実技検定試験となっています。
・3級
スキンケアからベースメイク、ハイライト、ローライト、チークまでの過程と仕上がりをチェックします。誰でも受けることが可能です。
・2級
スキンケアからフルメイクアップの審査を行います。3級を受験した人だけが受けることができる試験です。3級と2級の同日受験もできます。
・1級
モデルの要望や悩みに合ったメイクを行い、それを審査する試験です。受験できるのは、2級合格者のみです。
参考:「日本メイクアップ技術検定試験」(一般社団法人JMA)
IBF国際メイクアップアーティスト認定試験
IBF国際メイクアップアーティスト認定試験は、海外でも評価されている資格で、国際的に活躍できるメイクアップアーティストを目指している方に特におすすめです。
IBF(国際美容連盟)が認めるメイクアップの知識、技術を有していることが実技試験などで評価されます。十分な知識と技術をもった人が資格を取得できます。
誰でも受けられる試験ではなく、受験資格を得るにはIBFが指定するスクール所定のカリキュラムを修了していなければなりません。資格を取得できると、IBFからメイクアップアーティストとして活躍するための支援を得ることができ、活動を広げるのにも役立ちます。
参考:「IBF国際メイクアップアーティスト認定試験」(一般社団法人IBF国際美容連盟)
コスメコンシェルジュ
コスメコンシェルジュは、日本化粧品検定協会が認定している資格です。認定講座を受講後に課題を提出することで資格を取得できます。
化粧品の成分についての知識が得られるため、肌の悩みや好みに合ったコスメを選ぶ専門家になれます。
メイクアップアーティストの必須資格ではないものの、取得しておくと仕事に役立つでしょう。
参考:「コスメコンシェルジュ」(一般社団法人日本化粧品検定協会)
メイクアップアーティストを目指す場合の学校の選び方
美容系専門学校は数多くあり、どの学校を選ぶか迷う方もいるのではないでしょうか。メイクアップアーティストを目指して学校を選ぶ際は、下記ふたつのポイントを押さえておきましょう。
カリキュラム
学校に通う主な目的を美容師免許取得とするのか、メイクアップの技術をより専門的に学ぶことにするのかで、学校の選び方は異なります。
また、将来的に活躍したい現場によっても、学校に違いがあります。例えば、ブライダルの現場で花嫁メイクをする場合と、映画の特殊メイクを担当する場合では必要なメイクの知識や技術は異なるからです。
まずは自分が学校に通う目的を明確にし、必要な知識と技術が学べるカリキュラムやコースがある学校を選びましょう。
いずれの学校を選ぶとしても、授業は座学・実践・応用の3つで構成されていることが一般的です。座学でメイクの知識を得て、実践で基礎的な技術を習得し、応用で将来活躍したい場で必要となるテクニックを学んでいきます。
学習スタイル
学習スタイルは、2年以上の通常課程と3年以上の通信課程に限られます。また、土日のみのクラスや夜間クラスもあります。
美容系専門学校に通う人のなかには、2年間しっかりと学びたい人もいれば、仕事をしながら休日や夜間に通いたい人もいるかもしれません。
卒業まで無理なく通うためには、自分に合った学習スタイルの学校を選ぶことも大切です。
メイクアップアーティストになりたい人の卒業後の進路
美容系専門学校などの卒業後にメイクアップアーティストとして働く場合、どのような就職先や進路があるのでしょうか。
ここでは、代表的な3つの進路を紹介します。
プロダクションに所属する
ヘアメイク専門プロダクションに所属して働くケースです。プロダクションでは、テレビやCM、広告、雑誌、映画などの撮影時のヘアメイク業務を受託しています。
クライアントの要望やコンセプトに合わせたメイクが求められ、優れた技術が必要です。完全に裏方の仕事ではあるものの、モデルやタレントにヘアメイクを施すことができ、やりがいがある仕事です。
ただし、勤務時間はさまざまなので、不規則になりがちなのが難点です。とはいえ、プロダクションで働くことで学べる知識や技術は多く、メイクアップアーティストとしての経験が浅い人にとってメリットは多いでしょう。
化粧品メーカーやブライダルサロンに就職する
化粧品メーカーやブライダルサロン、エステティックサロンなどで働くケースです。
化粧品メーカーの場合、メイク部門に配属されて働くことが多いものの、化粧品の開発など、メイクアップに携わらない仕事が担当となる場合もあります。そのため、自分の好きな仕事ができないと感じることがあるかもしれません。
とはいえ、勤務時間や給料、福利厚生などは比較的安定している点は魅力です。メイクアップに限らず幅広い分野でも経験を積むことで、視野拡大にもつながります。
ブライダルサロンに就職すると、花嫁や新郎、出席者のメイクなどをメインに行うことになります。
フリーランスとして独立する
フリーランスのメイクアップアーティストとしてヘアメイクプロダクションやテレビ局、制作会社などと専属契約を結ぶ方法もあります。
自分で仕事を選べるので、好きな仕事ができる点は魅力ですが、常に仕事があるとは限りません。
現場での経験や人脈がないと仕事を得ることは厳しく、美容系専門学校を卒業後すぐにフリーランスになるのは難しいでしょう。
ヘアメイク専門プロダクションで働き、現場での経験を豊富に積み、人脈を確保したうえで目指すのが現実的なキャリアです。
メイクアップアーティストの魅力
メイクアップアーティストは大きなやりがいを感じられる仕事です。メイクアップアーティストの特に魅力的な点を4つ紹介します。
関連記事:メイクアップアーティストのやりがいとは?仕事の種類別に得られるやりがいも紹介
お客様の本来の美しさを引き出せるこ と
メイクアップアーティストの魅力のひとつが、メイクによって本来の美しさを引き出せることです。
どのようなメイクが似合うのか、自分のチャームポイントがどこなのかが把握的できていないお客様はたくさんいます。
そのようなお客様がメイクによって自分の魅力や個性を認識し、変わっていく姿を間近で見られることに大きなやりがいを感じられます。
お客様の特別な瞬間に立ち会えること
メイクアップアーティストは、お客様の特別な瞬間に立ち会う機会が多いのも魅力です。結婚式などの一世一代のイベントでのメイクは、責任重大でプレッシャーがかかります。
しかし、メイクを施したお客様の晴れ姿を見て、直接感謝を伝えてもらえることも多いためやりがいをもって働けます。
テレビや映画、雑誌などに携われること
テレビや映画、雑誌の撮影など、芸能関係の仕事に携われることもメイクアップアーティストの魅力です。
大勢のプロが集まる現場での仕事であるうえに、現場ごとに求められるニーズが変わるため高い技術や判断力が求められます。また、周囲の人と協力して作業を進めるコミュニケーション能力も必要です。
常に学び続ける勤勉さも求められるなどハードルは高いですが、モデルや俳優などにメイクする機会も多いため、芸能界に興味がある方なら大きなやりがいを感じられるでしょう。自分が携わった作品を見る楽しさも味わえます。
好きを活かしながら手に職をつけられること
メイクアップアーティストの魅力として、「好き」を活かしながら手に職をつけられることもあげられます。メイクやコスメ、美容など、自分が好きな分野に携わりつつ一生モノのスキルを身に付けられます。
また、化粧品や化粧道具、技術は常に進化し移り変わるため、学びに終わりがありません。何歳になっても自分の成長を感じられるのもメリットです。
メイクアップアーティストの将来性は高い!
メイクアップアーティストは将来性が高いのも魅力です。近年、多くの仕事がAIやロボットにより機械化が進んでいます。
しかし、メイクアップアーティストとして働くにはメイクの技術はもちろん、お客様に満足してもらうための接客力や現場のニーズを汲み取る能力なども必要です。
お客様や現場によって柔軟に対応しなくてはならないため機械化が難しく、今後も必要とされ続けると考えられます。
また、メイクアップアーティストは需要が高い分野に活躍の場があることも、将来性が高い理由のひとつです。具体的にはどのような分野でメイクアップアーティストが活躍できるのかを紹介します。
医療・福祉分野への活用
メイクアップアーティストがもつ技術は、医療・福祉分野でも活用可能です。例えば医療の分野では、ケガや手術などで体に残った傷跡や肌の色の変化などをメイクで隠す、医療メイクの注目度が高まっています。
また、福祉の分野では、介護施設などで高齢者にスキンケアやメイクを行い明るく楽しい気持ちになってもらう、メイクセラピストとして活躍する方もいます。
いずれもただメイクを行うだけでなく、ケガなどで気分が落ち込みがちな方の精神的なケアに役立てるのが魅力です。
特殊メイク需要の拡大
映画や舞台などで活用される特殊メイクも需要が高まっています。特殊メイクとは、ラバーやシリコンなどを使って、架空の生物や別人に変身させたり傷跡を作ったりする技術です。
最近はCGの技術も高まっていますが、特殊メイクには作られた映像にはないリアルさがあるため、多くの現場で求められます。
また、人体をリアルに再現する技術を活かして、手術によって切除された体の一部を再現するなど医療の分野にも応用可能です。
まとめ
メイクアップアーティストになるには、美容系の専門学校を卒業し美容師免許の取得が必要です。美容師免許のほかにもメイクや美容に関わる資格を取得しておくと就職に有利になります。
メイクアップアーティストとしてどんな分野で働きたいかを明確にし、自分の希望を叶えられる学校を選ぶのが肝要です。美容師免許と関連資格を取得すれば、将来的に希望の現場で働けるようになるでしょう。