美容師になるには?必要な資格や向いている人、就職先や将来性も紹介

「美容師になるには、どんな学校に行けば良いの?」「どんな勉強をすれば、美容師になれるの?」と、疑問に思っていませんか? 今回は、美容師になるために必要な資格について解説します。また、どのような人が美容師に向いているのかも説明しますので、美容師を目指している方は参考にしてみてください。


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美容師になるために必要な資格って?


美容師になるには、美容師免許が必要です。美容師免許は国家資格であり、厚生労働省指定の美容師養成施設となる美容学校で必要課程を修了した人のみに受験資格が与えられます。

国家試験では筆記試験と実技試験が実施されますが、それぞれ合格基準を満たさなければなりません。試験に合格して公益財団法人理容師美容師試験研修センターに申請すると、美容師免許が交付されます。

美容師に必須!美容師免許について知ろう

美容師になるには、美容師免許が必要不可欠です。美容師を目指す人にとっては避けて通れない話になりますので、まずは美容師免許について詳しく解説します。

取得するための条件

美容師免許を取得するための条件は、厚生労働大臣もしくは都道府県知事の指定した美容学校で必要な学科・実習を修了すること、美容師国家試験に合格していることの2点です。

国家試験を受験する場合、まず受験資格を得なければならないので、厚生労働大臣または都道府県知事の指定した美容学校に入学し、必要過程を修了します。認可を受けていない学校に入学しても、国家試験の受験資格は与えられないので注意しましょう。

美容学校の入学資格は「高等学校卒業以上」と定めている学校が大半です。

ただし、高校を卒業していなくても「高等学校卒業程度認定試験」に合格すると、高校卒業者と同程度の学力があると認められるため、美容学校への入学条件を満たせます。

「高等課程」の認可を受けている美容学校に入学すれば、一般の高校で学ぶ科目と美容学校で学ぶ科目を同時に勉強できるので、中卒者も入学できます。

試験内容

美容師国家試験には、筆記試験と実技試験のふたつがあります。筆記試験では衛生管理や美容保健、美容理論などに関する問題が出題され、実技試験ではカッティングやセッティング、衛生上の取り扱いの試験が行われます。

筆記試験の合格基準は、55問中6割以上の正答率であることです。そして、いずれの科目においても無得点がないこと。つまり、正答率が6割を超えていても、無得点の科目があると不合格となってしまいます。

実技試験の合格条件は、カッティング、セッティングともに減点が30点以下、衛生上の取り扱い試験における減点が20点以下です。試験はそれぞれ別の日に行われますが、両方の試験に合格しないと免許を取得できません。

筆記試験もしくは実技試験のいずれかに合格した場合は、次の受験で前回合格した試験が免除されます。ただし、免除をしてもらう場合は申請が必要です。

取得にかかる期間

美容師免許の取得にかかる期間は、美容学校に入学してから最短で2年1か月になります。美容学校に通う場合、卒業までに最低でも2年はかかりますし、試験合格後は美容師免許取得のための手続きが必要です。美容師免許の申請から取得までは約1か月かかります。

美容師国家試験は2月と8月の年2回、実施されます。美容学校に通っている学生の場合、2月に実技試験、3月に筆記試験を受けるので、3月末には合格発表です。合格すれば申請手続きを開始し、およそ1か月後には美容師免許が交付されます。

難易度

美容師免許国家試験の合格率は約50~90%といわれています。合格率にはかなりバラつきがあり、季節によっても変動します。

特に、2月に実施される試験の合格率は80~90%と高く、8月に行われる試験の合格率は50~60%と低い傾向です。冬は、卒業を控えて試験対策に力を入れる学生が多く受験するので、合格率が上がると考えられています。

とはいえ、美容師免許は国家試験の中でも取得しやすい資格です。合格率が30%を下回る国家試験も多い中、90%程度合格者が出ることもあるので、十分な試験対策をした上で試験に臨めば合格を勝ち取れるでしょう。

美容師になるためにはどんな学校に通えば良い?

美容師になるための手段として、美容学校への通学があげられます。美容学校には昼間課程、夜間課程、通信課程の3種類があります。

2年間の昼間課程

昼間課程では2年間、朝から夕方まで週5日、必須科目1410時間以上、選択必修科目600時間以上を学びます。カリキュラムの中で、メイクやネイルに関する資格も取得できます。

昼間課程の場合、学費は2年間で200万円を超える学校がほとんどです。ほかの課程と比べてしまうと高くなりますが、昼間課程は国家試験対策に費やす時間が多く、美容師免許を取得するのに必要な知識と技術をしっかり学べます。

2年間の夜間課程

夜間課程は夕方あるいは夜から授業がはじまる課程で、就学期間は最短で2年です。学校によっては2年6か月など、やや長めにかかる場合もあります。

夜間課程は昼間に仕事がある人でも通いやすいのが特徴で、仕事と学業を両立することも可能です。昼間課程に比べると学費は安く、150万円程度になります。

3年間の通信課程

通信課程では、日本理容美容教育センターが行う通信レポート提出と各美容学校が実施するスクーリング(面接授事業)への出席が必要となります。通信課程には4月入学と10月入学があり、就学期間は3年です。スクーリングは卒業までの3年間で600時間以上と義務付けられていますが、すでに美容院で働いている人は300時間以上になります。

学費は夜間課程よりもさらに安く、70万円程度になります。ただし、ほかの課程と比べて授業数が少ないため、自主学習が必要です。美容院で見習いとして働きながら通えて学費も安いといったメリットはあるものの、基本的に一人で忍耐強く勉学に励まなければなりません。

美容師に向いている人ってどんな人?

美容師に憧れはあるものの、実際に自分に向いているかどうか気になりますよね。ここでは、美容師に向いている人を紹介します。

トレンドに敏感

トレンドに敏感な人は、美容師に向いているといえます。日頃からヘアスタイルやメイク、ファッションなどの流行を知ることで、お客様に合わせて最適なヘアスタイルを提案できるようになります。

美容師は、お客様の髪をただカットするだけでなく、一人ひとりに似合うヘアスタイルを提案することも大切な仕事です。そのため、美容師になるには変化する流行をリサーチし続ける探究心が求められます。

コミュニケーション力がある

コミュニケーション力が高い人も、美容師の仕事に向いているでしょう。美容師はお客様の要望をしっかり聞き出すことで、一人ひとりに合ったヘアスタイルを提案できるようになります。

お客様との会話や接客の中からお客様が求めているものを引き出すためにも、円滑なコミュニケーションをとらなければなりません。ただし、コミュニケーションスキルのような人間力は日々の経験によって身につくので、コミュニケーション力が低くてもそれほど心配はいりません。

体力がある

美容師は立ち仕事なので、一日中立ちっぱなしで作業する日もあるでしょう。予約がたくさん入っていたり、次から次へとお客様が来店したり、忙しい日は休憩時間が取れない可能性もあります。

そのため、美容師になるにはある程度の体力が必要です。美容師の仕事は体力に自信がある人に向いているといえますが、何よりも大切なのは本人のやる気です。

美容師の主な就職先

美容師の就職先といえば美容院ですが、それ以外にもいくつか美容師の就職先が存在します。主な就職先を5つ紹介しますので、参考にしてみてください。

就職先1|美容院

美容師の就職先といえばやはり美容院です。美容院には大型店と小型店があり、それぞれ特徴が異なります。

大型店

大型店とはチェーン店やフランチャイズの美容院などです。認知度が高く立地が良い店舗が多いため、新規のお客様が多い傾向にあります。

また、マニュアルや教育制度が整備されているので、基本的な知識や技術が身に付きやすいのもメリットです。福利厚生や昇進制度などが充実していて、店長やマネージャーを目指せる場合もあります。

一方で、従業員数が多いため、指名獲得の競争が激しい店舗が多い特徴もあります。人と競うほうがやる気が出る方ならやりがいを感じられますが、プレッシャーを感じやすい方だとストレスが溜まるかもしれません。

また、低価格で回転数を重視する店舗だと効率やスピードを求められるため、じっくりと1人のお客様に向き合いたいタイプの方は「合わない」と感じる可能性があります。

小型店

小型店とは主に個人経営の美容院を指します。少人数なのでオーナーや従業員同士の距離が近いのが特徴です。オーナーや先輩が直接指導するため、大型店のような激しい競争が起こりにくいメリットもあります。

また、お客様との距離も近いので、じっくりと1人のお客様に向き合いたい方におすすめです。

ただし、店舗数も従業員数も少ないため、店長やマネージャーなどに昇進するのは難しいでしょう。大型店と比較すると福利厚生が少ない傾向にあるのもデメリットです。

就職先2|結婚式場

美容師の就職先として結婚式場もあります。結婚式場併設の美容院やブライズルーム(※)でヘアセットを行うのが主な仕事です。

結婚式という大舞台のためのヘアセットであり失敗できないため、プレッシャーを感じることもあるでしょう。

しかし、お客様がよろこぶ姿、多くの人に祝福されている姿を間近で見られるため大きなやりがいを感じられます。

ただし、求人数が少なく競争率が高いため、就職するのに苦労するかもしれません。また、メイクや着付けまで美容師が担当することが多いため、ヘアセットだけでなくメイクや着付けの技術も身に付ける必要があります。

※結婚式当日に新婦がヘアメイクや着替えを行う場所(新郎が身支度を整える場所を含む場合もある)

就職先3|ヘアメイク事務所

ヘアメイク事務所にヘアメイクアーティストとして就職するパターンもあります。テレビや雑誌、映画などの撮影現場でタレントやモデルにヘアメイクを行うのが主な仕事です。

芸能界に関われるため憧れを抱く方も多いですが、求人数が少ないため就職のハードルが高めです。また、プロの現場で通用するハイレベルな技術や、撮影現場でスピーディーにヘアメイクを済ませるスキルが求められます。

そのため、美容師免許取得後すぐの就職は難しく、美容院などでそれなりの実績を積んでから就職を目指すのが一般的です。

就職先4|ヘアセット専門店

ヘアセットに特化したヘアセット専門店も、美容師の就職先のひとつです。結婚式やデート、イベントに参加する方や、ナイトワークの方にヘアセットを行います。

基本的にシャンプーやカット、カラーなどの施術はないため、これらの技術を伸ばしたい方には向きません。

しかし、一般的な美容院では対応できないような、特殊なヘアセットの技術を身に付けられるメリットがあります。

就職先5|トータルビューティーサロン

「美容」に興味がある方なら、トータルビューティーサロンに就職するのもおすすめです。トータルビューティーサロンとは、ヘアセットやメイク、まつ毛エクステ・パーマやネイルなど、さまざまな美容サービスをまとめて提供しているサロンを指します。

ヘアカットやまつ毛エクステ・パーマは美容師免許が必須なので、取得した資格を存分に生かせるのが魅力です。より幅広い知識や技術を身に付ける必要がありますが、その分やりがいも感じられるでしょう。

美容師の将来性が高い理由とは

美容師は将来性が高い仕事だといわれる仕事です。その根拠を3つ解説します。

関連記事:美容師は将来性のある仕事?新しい時代の働き方を紹介

美容院の数は増加傾向にある

美容院の数は、近年増加傾向にあります。厚生労働省発表の「令和4年度衛生行政報告例の概況」によれば、美容院の数は2018年時点で251,140施設、2022年時点では269,889施設でした。美容院の数が増えれば、それだけ求人数も増えるため就職もしやすくなります。

出典:厚生労働省「令和4年度衛生行政報告例の概況

高齢者向けサービスの需要が拡大する

日本は超高齢社会に突入しており、高齢者の数が増加しています。それにともない、白髪染めや薄毛改善などの高齢者向けのメニューのニーズが拡大中です。

また、介護を受けている方の自宅や施設、病院などに出向いて美容サービスを提供する「介護・福祉美容師」の需要増加も見込まれるため、美容師の活躍の場が広がります。

美容師の仕事はAIやロボットに代替されにくい

近年、多くの仕事でAIやロボットが活用され始めており、「将来的に消える仕事」などのニュースを目にする機会も増えています。

しかし、美容師の仕事はお客様の髪質や健康状態、その日の気温や湿度などから適切な施術を行う細やかさが求められるため、AIやロボットに代替されにくいのが特徴です。

美容院に会話や癒しを求めているお客様は多いでしょう。AIやロボットによる機械的なカウンセリングや施術に抵抗があるお客様もいるため、完全にAIやロボットに取って代わられる可能性は低いといえます。

まとめ

美容師は定番の人気職業ですが、美容師になるには国家試験に合格する必要があります。美容学校に行って集中的に勉強する方法もあれば、働きながら美容師を目指せる方法もあるので、自分に合う方法で必要な知識と技術を習得して、美容師免許の合格を目指しましょう。