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エステティシャンの仕事内容
エステティシャンの主な仕事は、カウンセリングと施術のふたつです。まずは、それぞれの仕事内容から説明します。
カウンセリング
カウンセリングは、お客様に最適なメニューを提案するために欠かせない仕事です。エステティシャンは施術前に丁寧なカウンセリングを行い、お客様の肌や身体に関する悩みを聞き出すことで、お客様の状態や目的に合った施術方法を提案します。
お客様に安心して施術を受けてもらえるよう、施術内容や料金、時間についても十分に説明し、信頼関係を築かなければなりません。
また、施術効果を高めるために、カウンセリングを通して運動や食事、生活習慣に関するアドバイスやホームケア用品の提案も行います。化粧品、マシンに関する知識、栄養、運動、ホームケアなど、身体や肌に関する知識があるからこそ、的確なアドバイスを提供できるのです。
施術
エステティシャンのメインのお仕事は施術になりますが、仕事内容はエステの種類によって異なります。代表的な施術内容は、顔メインのフェイシャルエステ、身体中心のボディエステ、脱毛エステなどです。
フェイシャルエステ
フェイシャルエステとは、顔や首、デコルテ部分を集中ケアする施術です。主な施術目的は、毛穴の汚れ除去、むくみ・肌質改善、エイジングケアなどがあげられます。
専用の美容機器を用いたり、プロの手でマッサージを行ったり、お客様の肌の状態や肌質に合わせたアプローチ方法でお顔周りをケアします。一般的にはクレンジングでメイク汚れや毛穴汚れを取り除いてから、トリートメントやパックを行います。
ボディエステ
ボディエステとは、顔を除いた全身をケアする施術です。美容機器の使用やプロによるマッサージで全身のコリをほぐしたり、リンパの流れを良くしたりします。ボディケアには痩身や肌質改善、リラクゼーションなど多数のメニューがあります。
脱毛
エステ脱毛にはさまざまな種類がありますが、エステサロンで行う脱毛は光脱毛やワックス脱毛が一般的です。光脱毛は医療機関で行うレーザー脱毛とは異なり出力が弱いため、エステティシャンが施術を行います。
エステティシャンの年収は?
厚生労働省が発表している令和4年度のエステティシャンの平均月収は、約22.7万円であり、令和5年度の平均年収は約320.6万円でした。日本人の平均年収は458万円と報告されているため、エステティシャンの年収は全体的にやや低い傾向にあるといえるでしょう。
また、エステティシャンは働く地域によって収入が異なります。美容に関心の高いお客様が集中しやすい都心部のサロンのほうが、地方のサロンよりも平均年収が高く、サロンの規模が大きいほど高収入が見込めます。
ただし、固定給のほかに、歩合制やインセンティブを採用しているサロンもあり、平均年収以上の収入を得られる可能性があります。若い年代でも、エステティシャンとしての技術を磨き、経験を積むことで給料アップが期待できるでしょう。
出典:
厚生労働省 job tag「エステティシャン」
国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査結果について」
エステティシャンになる方法は?
「エステティシャンとして活躍したいけれど、エステティシャンになるにはどうしたら良いの?」と疑問に思っている方に、ここではエステティシャンになる方法を3つ紹介します。
1.美容専門学校に通う
エステティシャンになるには、美容専門学校に通って総合美容やエステティックの知識や技術を習得する方法があります。美容専門学校に入ると、美容やエステに関する知識を幅広く学ぶことが可能です。エステ以外の美容系の資格取得も目指せます。
美容専門学校の教育課程には昼間課程(2年以上)、夜間課程(2年以上)、通信課程(3年以上)の3種類があり、エステティシャンを目指す方は、昼間課程か夜間課程の「トータルビューティー科」や「エステティックコース」などと呼ばれるコースで学習が可能です。
2.エステティックスクールに通う
エステティックスクールは、国の認可を受けている美容専門学校とは違い、エステティックに特化したカリキュラムが組まれています。美容の知識を幅広く習得できる専門学校ですが、エステに関する知識と技術を短期間で学びたいのならエステティックスクールに通うのもひとつの方法です。
エステティックスクールではカリキュラムを自由に組めるので、フェイシャル、脱毛などそれぞれの分野に特化した技術を習得できます。
短期講座もあり、働きながらでも通いやすい点もメリットです。受講スタイルは、通学と通信のどちらかを選べます。カリキュラムを修了して試験に合格すると認定資格を取得できるスクールも多いため、短期間で必要な知識と技術を身に付けたい方に適しています。
3.エステティックサロンで働く
エステティシャンになるには、エステティックサロンでアルバイトやパートとして働き、現場経験を積む方法もあります。仕事内容は受付、掃除、施術準備などのサロンワークが中心ですが、お金をもらえて経験まで積める点は大きなメリットです。
ただし、エステティシャンとして活躍するためには、サロン独自の社内研修を受けて施術に必要な知識や技術を身に付ける必要があります。
エステティシャンの民間資格について
エステティシャンになるのに、特別な資格は必要ありません。ただし、就職やサロンを開業するのであれば、資格を保有していたほうが有利といえます。ここからはエステティシャンとして活躍する上で役立つ主な民間資格を紹介します。
日本エステティック協会(AJESTHE)の資格
日本エステティック協会(AJESTHE)が認定する民間資格には、認定エステティシャン、認定上級エステティシャン、認定トータルエステティックアドバイザーの3つの資格があります。協会が認定する民間資格を取得できるのは認定校のコース修了者で、なおかつ協会が実施する試験の合格者です。さらに、協会への正会員登録と3年ごとの更新手続きも必要です。
認定エステティシャンは、フェイシャルやボディケアの基本的な知識、技術をもち、エステティックサービスを適切に提供できると認められたエステティシャンに付与される資格です。
認定上級エステティシャンは認定エステティシャンの上位資格です。専門的な知識や技術をもち、お客様のニーズに応えたエステティックサービスを提供できると認められたエステティシャンに付与されます。
最難関の認定トータルエステティックアドバイザーは、指導的立場を担うエステティシャンと認定されたエステのスペシャリストに付与される資格です。指導者を目指す方はもちろん、独立開業を目指す方も多く受験します。
日本エステティック業協会(AEA)の資格
日本エステティック業協会(AEA)の主な資格は、基礎資格のAEA認定エステティシャン、上位資格のAEA上級認定エステティシャン、最上位資格のAEA認定インターナショナルエステティシャンの3種類です。
基礎資格を取得するにはAEA認定校でカリキュラムを履修するか、フェイシャルまたはボディの実務経験が必要です。実務経験を積むことで上位資格も取得できるようになります。なお、資格取得後は5年ごとの登録更新が必要です。
AEA認定エステティシャンは、エステティシャンとしてキャリアをスタートできる基礎知識と技術をもち、安全な技術提供ができると認める資格になります。AEA上級認定エステティシャンは、フェイシャルとボディの総合的な知識と技術をもち、エステティックサロンの中核として実践的に活躍できると認める資格です。AEA認定インターナショナルエステティシャンは、国際的にも通用する資格で、高度な技術と知識を有すると認められた熟練エステティシャンに付与されます。
日本スパ・ウエルネス協会(JEO)の資格
日本スパ・ウエルネス協会は、2005年に東京都の認可を受けた特定非営利活動法人です。協会では広範囲にわたる検定、資格試験を実施しており、エステティック関連の資格だけでも数多くの資格が存在します。エステティシャンの仕事に役立つ主な資格は、サービスマナー検定、認定エステティシャン、ビューティセラピスト、インターナショナルビューティセラピスト、美容脱毛士などです。
サービスマナー検定3級では、基本的なサービスマナーやビジネスマナーなどの基礎知識、2級は日本のしきたり、サロンで使える英会話、法令等に関する知識を問われます。1級では実務技能、専門知識はもちろんのこと、上級のサービスマナーとホスピタリティをもち合わせた接遇を求められます。
認定エステティシャンは、エステティックに関する基礎知識を保有していることを証明する資格です。ビューティセラピストはトータルエステティックの知識と技術、信頼されるサービスマナーをもち合わせた上級エステティシャンに付与される資格です。
インターナショナルビューティセラピストは、高齢者や海外の顧客にも対応でき、美容とサービス業界で管理指導的立場を担えるエステティシャンに付与されます。
エステティシャンのやりがい
エステティシャンはお客様の美をサポートし、喜びを共有できる仕事です。スキルの向上や収入面でもやりがいを感じる場面もあるでしょう。ここでは、エステティシャンのやりがいを3つ紹介します。
関連記事:「エステティシャンの仕事のやりがいとは?仕事内容やなるための方法」
お客様が理想を叶えるサポートができ、感謝される
お客様の肌トラブルや体型の悩みを解決するなど、よりキレイになるためのお手伝いができることがエステティシャンのやりがいのひとつです。
お客様の表情が次第に明るくなっていき、施術後に感謝の言葉をかけられると、エステティシャンとして大きな励みになります。感謝される機会も多く、仕事に対するモチベーションも高められるでしょう。
生涯役立つ専門的なスキルが身に付く
エステティシャンとしてさまざまなお客様の施術に携わることで、自然と専門的なスキルが身に付きます。お客様に最高のサービスを提供するには、常に最新の知識や技術の習得が欠かせません。学んだ専門的なスキルは仕事だけでなく、自分のセルフケアにも活用できます。
また、独自開発の化粧品やケアアイテムなどの商品を販売するサロンもあるため、営業スキルも向上するでしょう。専門的なスキルがあれば、即戦力となるため職場から求められる存在になれます。
転職を考えた際も、知識があれば選択肢が広がり、希望する条件の勤務先を探しやすくなるでしょう。
努力した分給与が増える
多くのサロンでは歩合給制が採用されているため、努力次第で収入アップが期待できます。自分の頑張りが給料になって反映されると、やりがいにつながります。
また、施術以外の物販販売でインセンティブがあるサロンも少なくありません。給料とは別に報酬を得られる仕組みのため、働いた分はしっかりと評価される点も魅力です。
エステティシャンの適性は?向いているのはこんな人
どのような仕事にも適正はあります。エステティシャンに向いている人はどのような人なのか、詳しく紹介します。
美容に対する意識が高い
エステティシャンになるには美容への関心が必要で、美容に対する興味が強い人ほどエステティシャンに向いています。
日頃から美容に関する知識や技術に対して関心をもっていると、仕事も楽しめます。美容への関心や探求心がある人は、エステティックサロンを訪れる美意識の高いお客様の要望にも応えられるエステティシャンになれるでしょう。
体力的にハードな仕事ができる
エステティシャンの仕事は、立ち仕事も少なくありません。施術中は立ちっぱなしになりますし、力を込めて行うボディマッサージは肉体労働になるので、体力を消耗します。
したがってエステティシャンになるには、ある程度体力が必要です。じっとしているより体を動かしておきたい人には、向いている職業といえます。
人のために尽力できる
カウンセリングでお客様の要望や悩みを聞き出し、一人ひとりに合ったメニューを提案するには、相手に尽くす姿勢も大切です。美や癒しを求めて訪れるお客様に尽くし、満足してもらえたときはやりがいも感じられるでしょう。すなわち、人のために尽力できる人はエステティシャンに適しています。
エステティシャンの将来性は高い!キャリアアップ例を紹介
美容は単なる外見の美しさにとどまらず、心の豊かさや自信につながるため、美容に対する需要は今後もなくならないでしょう。
安価でセルフエステができるサービスも増加傾向にありますが、セルフでは得られないリラクゼーションや細やかな接客を受けたいというニーズは一定数あります。
近年は美意識の高い男性も増えてきたことから、男性向けのサロンが徐々に増えてきているのも実情です。
ここでは、エステティシャンとしての将来性やキャリアアップの事例を紹介します。
キャリアアップ例1|店長・エリアマネージャーに昇進する
エステティシャンの枠を超えて店舗全体の経営に携わりたい方は、店長やエリアマネージャーに挑戦するのもおすすめです。
店長になればサロンの経営を任せてもらえるところが多く、自分の裁量で決められることが増えていきます。全国にチェーン展開しているサロンであれば、エリアマネージャーとして店長を統括する役割も担えるでしょう。
ただし、経営側になるとお客様のニーズに合ったサービスができているか、売上から分析する必要があります。エステティシャンとしての技術よりも、サロンスタッフの管理が重要となります。
キャリアアップ例2|インストラクターになる
今まで習得してきたスキルや経験を活かし、エステティシャンの成長をサポートしたいと考える方にはインストラクターが向いています。
インストラクターは、エステティシャンを目指す専門学校の学生やスキルアップを望むサロンのスタッフなどに、知識や技術を教える仕事です。エステ関連の資格があると確かな技術力の証明になるため、取得しておくと有利です。
キャリアアップ例3|独立・転職する
新たな活躍の場を求めるなら、独立や転職を考えてみるのもひとつの方法です。独立すれば自分のペースで働くことができる上、メニューや出店場所なども自由に決められます。結婚や出産などによりライフスタイルが変化しても、柔軟に働けるのが魅力です。
将来的に独立を考えているのであれば、独立支援制度を設けているサロンに転職するのもおすすめです。独立支援制度とは、サロンで働くスタッフの独立を支援する仕組みです。一定の条件をクリアすれば独立の準備を進められます。
また、高待遇の大手サロンや興味のある別種のサロンに転職するのも良いかもしれません。経験を積めばトータルビューティシャンとして活躍できる未来もあります。
まとめ
エステティシャンになるのに、必要な資格や免許はありません。しかし、確かな知識や技術を証明するには資格は必須といえます。美容が好きと思う気持ちを仕事に活かすためにも、正しい知識と技術を身に付けて、ワンランク上のエステティシャンを目指しましょう。